あの白に届くまで
でも残念ながら柚ちゃんはそうじゃなかったらしい。
一口だけホットコーヒーを飲んでからカップを置いて、またオレに攻撃を開始した。
「なんで止めなかったんですか?!…んな、アテもないのに、無茶な…」
「まぁアイツなりにアテはあるらしいけど…」
具体的な地名を上げていいのかは戸惑って、口ごもった。
カリフォルニアの件は拓巳たちにも言っていない。オレと大地だけの間の話だ。
柚ちゃんは一番日向に近い人間だからこそ、どこまで伝えるのが正解なのかわからない。
「大地なら大丈夫でしょ」
「…あの子、受験なのに」
柚ちゃんは軽く唇を噛んで首を横に振った。
心配する表情や困った表情。
やっぱり2年ぐらいじゃ全然変わらない。
「バカだなぁ…」
「バカじゃないよ」
頼まれたわけじゃないけど、
無意識のうちに大地をフォローしていた。