あの白に届くまで
柚ちゃんは顔を上げて、俺を見た。
まっすぐと。
「…雄大先輩?」
「とっくに気付いてると思うけど、アイツは柚ちゃんのこと……とても大切に想ってる」
その大きな目が、少しだけ逸らされた。
やっぱり気付いてた。
桜色の唇が頼りなくかすかに動く。
「…でもそれは、そういうのじゃなくて…」
「うん。オレも知ってる」
軽く伸びをすると、腕が少しだけ音を鳴らした。
――たまには運動しなきゃな。あの頃みたいにはいかないけど。
そう思った。
「なんていうのか、母親に対する愛みたいだよね。大地が柚ちゃんに向けてるのって」