あの白に届くまで
「…雄大先輩?」
「あ……いや。ちょっと色々考えてた」
「大学の勉強大変なんですか?」
――だけど残念。
鈍感な君には
どうも上手く伝えられる勇気がなくて。
「まーね」
オレはそう笑って、柚ちゃんの頭をポンと叩いた。
これぐらいは許せ。日向。
そう思いながら。
「とにかく待っててやろうよ、大地を。二週間で帰ってくるんだから」
「…はい」
柚ちゃんは相変わらず少し複雑そうな表情だった。
それでも頷いてからオレの目を見た。
「ひとつ…聞いてもいいですか?」
柚ちゃんのまっすぐな瞳を向けられると
嘘がつけなくなりそうだ。
どきっとする。