あの白に届くまで
「は…はい?どうぞ?」
「…なんで声が裏返るんですか」
「い、いや…」
慌てて口を手で抑えた。
すぐ態度に出てしまうところが昔から変わらなくて困る。
目を合わすのが難しくて、視線を柚ちゃんの顔から柚ちゃんの着ている白いワンピースに逸らした。
レースの付いた柔らかそうなワンピース。
…って、なんか変態みたいになってる。
「…先輩?」
「…」
「ちょっと、こっち向いてくださいよ」
堪忍して顔を上げると
――柚ちゃんの目はさっきみたいに厳しくなんかなくて、
少しだけうるっとしていた。
「…良かったです」
「え…」
「大地くんに心当たりがあるのか、先輩に心当たりがあるのかはわからないですけど…」