あの白に届くまで
そして、
「……え…?」
ちょっと懐かしいその声が聞こえた。
ふわっとした髪が少し揺れて、
こっちを振り向いてくれた。
柚先輩の大きな瞳が俺を捉えて、更に大きくなる。
「…大地くん?」
「お久しぶりです!」
思わず興奮して大きな声になった瞬間、電車が止まった。
柚先輩はその駅で降りるようだったから俺もつられて降りた。
本来は2つ先の駅で降りるはずが
柚先輩に会った瞬間、どうでもよくなっていた。