あの白に届くまで
「無事に会えるといいけど。…受験まで賭けてるんだから…」
喫茶店を出た直後、柚ちゃんが小さく呟いた。
白いワンピースに太陽の光が反射していて少しだけ眩しかった。
目を細めた。
「そーだな…会えんじゃない?全然根拠ないけど」
「…ないんですか」
「なんかオレ、大地なら日向を見つけちゃう気がするんだよね」
うーん、とまた体をぐっと伸ばしてからそう言うと。
柚ちゃんは少しだけ目を見開いた。
「そう…かな?」
「なんか日向と大地って年は離れてても不思議な強い縁で結ばれてる感じがする」
のんびりと歩きながらそんな話をして、交差点に辿り着いた。
それじゃあ。また。
そんな雰囲気になる前に、柚ちゃんが小さく笑った。
「…ちょっとだけ悔しいです」