あの白に届くまで
ホントに奴は昔から行動が身勝手で、突然だ。
「とりあえずタクシーでその宿泊先とやらに向かうしかないだろ」
「でも英語が…」
「雄大先輩?だっけ。その人から送られてきたメール見せたらいいじゃん。住所書いてるっしょ?」
あ……そういえばそうか。
動揺しすぎて冷静な判断が出来なかった。
一気に肩の力が抜ける。
初めて兄貴が役に立った。
「ナイスだよ。オニーサマ」
タクシーに乗り込むと、あらかじめプリントアウトしておいたメールの住所を太ったタクシードライバーに見せた。
「ウェル…オーケー。アイムシュア」
よくわからないけど、とりあえず頷いている。
よし。