あの白に届くまで
俺と兄貴は顔を見合わせてガッツポーズをした。
雄大先輩の叔母さんは日本人だから、そこにさえ着けばあとは安心だ。
「…でもさ、大地」
「ん?」
「お前はその"日向先輩"とやらを探し回るんだろ?嫌でも英語が必要になるじゃんか」
走り出したタクシーの中、そんな会話をする。
確かに。
日向先輩がいそうな場所にはいくつかの候補があるから、あちこち探し回らないといけない。
「頑張って乗り切る。なんとか」
「着いていかないからな。1人でやれよ」
「英語力に関しては兄貴がいてもいなくても同じだから、いなくていい」
そう笑うと、思い切り足を踏まれた。