あの白に届くまで


その家の大きさに、2人揃って唖然とする。


「え……でかくない?」


「"雄大先輩"って金持ちなん?」

「さぁ……ま、アメリカの家って結構大きいところ多いけどね」


それにしても、この住宅街の中でもひときわ大きくて目立っている。
洋画ドラマによく出てくる、いわゆる裕福なアメリカンファミリーの家って感じだ。



思わず見とれていつまでもタクシーを降りない俺たちに、ドライバーが怪訝そうな目を向けた。



「ホワッツ?…ノットコレクト?ノットヒア?(何?違う?ここじゃないの?)」


簡単な英語を使ってくれていることは分かるし、言っていることは雰囲気で分かる。

兄貴が慌てて運転席に身を乗り出してタクシー代のドル札を渡した。




「お、オーケー!なんでもナッシング。ディスイズ、マニー!ベリーセンキュー運転!」

「……」




これが、就活を終えた大学生の英語だと思うと情けなさすぎて泣けてくる。


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