あの白に届くまで


「……」

ドライバーの表情から、"まったく、変な東洋人に当たっちゃったゼ"と思ってるんだろーな…と容易に想像がつく。

かなり悲しい。



「…オーケー。ヒア、チャージ。センキュー(ま、とりあえずお釣りね。ありがとさん)」




そんなこんなでなんとか俺たちを降ろすと、タクシーは去っていった。


兄貴は受け取ったお釣りのドル札やコインを見て「…お釣り誤魔化されてないか、それすら分かんないや」と笑った。


マジで笑ってる場合じゃない。

雄大先輩の叔母さんに、お金についてと基本的な会話ぐらい教えてもらわないと。



少しは勉強するんだった、
と心底後悔した。



その時、


「…あ、あらあら?あなたはもしかして…」


日本語が後ろから耳に入ってきて
思わず振り向いた。


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