あの白に届くまで



目を丸くしてそこに立っていたのは、髪の色こそ明るいけどどこからどう見ても日本人のおばさん。

年齢は30代後半といった感じだけど、キレイな顔をしている。
手には何やら買い物袋みたいなのを下げていた。


「うちの前に立っているってことは…もしかして、ゆーちゃんの後輩さん?」


「あ、ハイ!そうです!」



"ゆーちゃん"
その呼び名に一瞬戸惑ったけれど、雄大先輩のことだとすぐに分かった。


返事をして慌てて頭を下げると、おばさんはぱっとした笑顔になった。



「連絡くれれば空港まで行ったのに!よく来ましたね。ささ、どうぞ」



雄大先輩の叔母さん。
確かに無邪気で明るい雰囲気が似ている。




でもそれより何より、
日本人に会えた安心感で胸がいっぱいだった。


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