あの白に届くまで
家に案内されると、見かけ以上に広かったことがよく分かった。
一体何人住めるのか知りたいぐらい。
玄関ホールを突き抜けると、女の子が喜びそうな、お城みたいな螺旋階段。
二階にゲストルームがあるようだった。
「すみません。弟ともども、お世話になります」
「いーえ、全然」
思わずキョロキョロ見とれてしまった俺をよそに、兄貴はおばさんに頭を下げていた。
そういうところはさすがだ。
「よ、よろしくお願いします!」
俺も急いでそう続けると、おばさんは雄大先輩に似た優しい笑顔を向けた。
「わからないことがあったらなんでも聞いてね」
「はい。ありがとうございます」
…わからないことだらけ、だけど。
そう肩をすくめそうになった。
すると、螺旋階段から駆け下りてくる足音がした。