あの白に届くまで
「紹介するわね。私の娘だから…ゆーちゃんのイトコね。6歳で、ソニアっていいます。父親似なの」
「「あ、ども……」」
"ソニア"にどう挨拶したらいいのかがわからない俺と兄貴は、同じような間抜けな反応をしてしまった。
ソニアは怪訝そうな、そして不審そうな目でこっちを見上げてくる。
形のいいピンク色の唇が気乗りしなさそうに呟いた。
「……ハジメマシテ」
――日本語喋れんのかよ!
内心思いっきり、そうツッコミを入れていた。
俺の心の中を悟ったのかおばさんは小さく笑いながらソニアの髪を撫でた。
「私が家ではあんまり日本語喋らないからまだ拙いけど、ある程度の日常会話ならこの子も日本語出来るのよ。今学校はお休みで退屈みたいだから、ぜひ遊んであげて」
「……」
完璧に、この天使に負けている。
兄貴と目が合って苦笑いした。