あの白に届くまで
俺は兄貴の脇腹を肘でこづいた。
「お世話になる家の娘さんなんだから、んなこと言わないの」
「いつもは温厚な俺もさすがにカチンと来たぞ。あれは。どういう教育してんだ」
「しょーがないじゃん。実際、頭悪いんだからさ」
俺は小さく笑うと、兄貴を促して螺旋階段を上がり始めた。
なんだか今日は疲れていて、早く眠りたかった。
―――日向先輩。
久しぶりに憎まれ口を利く子に会いました。
先輩も小さい頃は、こんな感じだったんですかね?
俺も兄貴も
その女の子を小悪魔だと思ってましたが、
本当は違いました。
実は、
――彼女こそが天使でした。