あの白に届くまで
寝ぼけているせいで普段より回転が遅くなっている頭を、必死に動かした。
えっと…
まず、ここは日本ではない。
アメリカの、カリフォルニアだ。
俺と兄貴は雄大先輩の叔母さんのところに泊めてもらってて…
それで、この小生意気な声の主はソニアで…
――で。
期限は二週間で、
目的はもちろん…
「カズヤとママ、ショッピング」
俺のベッドのシーツをぱしっと畳みながら、ソニアがつんとした口調で言った。
…あわわ。
急いで俺も、枕やシーツを整えにかかる。
ソニアしっかりし過ぎだろ。
「…って、ショッピング?」
「イエス。バカダイチとソニア、だけ。この家にいるの」
兄貴はただのカズヤなのに、俺だけバカ大地とはなんだ。
そう突っかかりたいけど、なんとか日本語を話してくれようとするソニアには何も言えなかった。