あの白に届くまで
タクシー代とか、とにかく交通費がばかにならない。
お年玉と今までの貯金からだいぶ捻出してドル札に替えた交通費が、ずしりと財布を重たくしている。
リュックのふたを閉めた時、身軽なワンピース姿に着替えたソニアがやってきた。
さすが、子どもってこういうことに関する準備がすごく速い。
「行こうか」
ソニアに鍵を閉めてもらって、家を出た。
…まずはここから一番近いと思われる"クロリス寮"というところに行ってみよう。
―――『いいか?忘れちゃいけないのは、日向はスポーツバカだってことだ』
昨夜寝る前に掛かってきた国際電話。
雄大先輩と交わした会話が頭の中に蘇る。
『はい』
『きっと日向は、どこにいてもスポーツと繋がりの深い場所にいると思うんだ』
だから、とピックアップしたいくつかの住所。
俺がそれに目を遣ると、雄大先輩はまるでその様子を見ているかのように電話越しに言葉を続けた。