あの白に届くまで
俺はすぐ傍にいるはずの彼女に、目を細めた。
消えてしまう気がする。
どうしようもない程に儚く見える。
だから守りたいと思った。
同じ大学に行って、ずっと傍にいたいと思った。
――あの人が、帰ってくるまで。
「大地くん、門限とかある?」
「いや、全然大丈夫です」
「少しお茶しない?ちゃんと家まで送るから」
断るはずもなく、頷いた。
駅の出口から歩いてすぐのところに見えた喫茶店に入る。
夜の風に乗って微かに漂う匂いが
懐かしいと思った。