あの白に届くまで


さぁ…と首を捻った。


現実逃避。
それはなんだか、違う気がする。

だって日本にいたってアメリカにいたって、現実は現実だから。



「わかんないね。よく…わかんないや」

「ふーん」

「あんまり考え過ぎると、いつも悪い方向に行くんだ。だって、」



――日向先輩は俺たちとさよならしたかったってこと?




その言葉を呑み込んで、かわりにキャンディを軽く噛んだ。

カリ…と軽い音がして口の中で崩れる。


その瞬間、得体の知れない強烈な刺激に顔から火が出そうになった。



「……!!」


呼吸がうまく出来ない。
目を剥いて、キャンディを吐き出した俺に兄貴が笑った。


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