あの白に届くまで
「ソニアが大地に食わせろって言った理由がわかったよ。罰ゲームキャンディ」
「…」
「…大地?」
キャンディをティッシュに吐き出してそのままうずくまった俺に、兄貴が笑いを止めた。
そして少し気まずそうな声で「おい」と肩を叩いた。
「大地?」
「…」
「ちょ、悪かったって。大丈夫か?」
兄貴の焦った声が頭に響く。
――――――
――――
『大地!アメやるよ。アメ』
『お、ありがとございまーす』
『今日は練習頑張ったからな』
目の前で先輩が、にかっと笑う。
差し出された飴を何の疑いもせずに俺は受け取った。
純粋に嬉しかった。
『拓巳にもやるよ。ほら』
『…いや、俺はいいわ』
拓巳先輩は何故か苦笑しながら、タオルを持っていないほうの手を振った。