桜恋
過去[>前編
いつだってあたしは逃げてきた。
昔に何か戻りたくない。
あの頃になんか、絶対に―――。
中学二年生の頃、あたしは見ず知らずの人に襲われた。
いわゆる「ゴーカン」ってやつだ。
神様はいつだって不公平だ。
ブスでバカで。
おまけに運動オンチで。
とりえが何にもないあたしをもっとどん底に突き落とすなんて。
ヒドイ。
今でも絶対に忘れない、。
きっとこれからも悲しい思い出として心に刻まれるだろう。
ゴーカンされた日。
それは天気の良い春休み。
あたしは中学二年生の頃今より根暗だった。
今も充分暗いけれど。
インキャラってゆーのかな。
まぁ例えるとそんな感じ。
そーゆー性格だからガリ勉ってキャラだった。
…頭もよくないのに。
その日は図書館で勉強していた。
もうすぐテストって訳もないのに意味もなく。
考えてみれば意味が本当に無かった。
うん。
全然。
あんな事になるのならば、勉強だってなんだって意味なんて全くなかったのに。
その日、久しぶりに勉強で熱中しすぎたんだ。
気づくと、図書館は閉店時間の七時を回っていた。
図書館から家までは自転車で約20分かかるのに、その日は自転車が壊れていたので、歩いて行った。
それでも嫌な気はしなかった。
夜の春はすずしくて。
おまけにキレイな月も見れて。
とにかく、とても落ち着く。
母にケータイで連絡をいれ、家へ落ち着いて帰ろうとした。
歌なんかも歌って。
そっからの記憶はあまり無い。
…というか、ありすぎてもぅ忘れちゃいたいぐらいだ。
本当に、。
草がゆれていたのはしっていた。
風も全然ないのにゆれているのは知っていた。
でもあたしはチョットヘンに思っただけ。
そう気にも留める気は無かった。
その時、気づけば良かったんだ。
不審すぎる男の影に。
今から後悔しても仕方がないけど、後悔したくてもしきれない辛さ―――。