空色デイズ



がたりと席を立って、加藤が笑う。


「それ、返すから。せーんせー、手が汚れたので、洗ってきまーす」
「おいー、加藤ー」


先生の制止の声も聞かずに教室を出て行こうとする加藤が、扉のところまできて、ふと私を振り返った。



「戻ってきたらまたシャーペン貸してねー」
「誰が壊したと思ってんだ」
「さぁ、誰だろうね、そんな酷いことする奴は」



お前だよ。

空惚ける加藤にシャープペンシル(瀬木先生がくれたやつ)を投げつけようとして止めた。

犠牲者が増えるだけだし、何より奴の思うつぼだ。


コレだけは壊されたらかなわん。
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