空色デイズ


斜め前を見れば、白いワイシャツを青黄に染め上げたインクを、どうにかこうにか薄めようと四苦八苦している崎山が映る。

意味が分からないと、縋るような視線を向けられたが、説明が面倒なので無視した。


両脇前後の女子からハンカチを迫られて困っている崎山も、なかなかに面白かったというのも、無視した理由の一つだ。


でれでれしやがって。



後で買い物に付き合わせよう。

がたんと手洗いから帰ってきた加藤が何事もなかったかのように席に着く。


早いな。ちゃんと手拭いたのかな。


「藤野ハンカチ貸して」
「お前ことごとく期待を裏切らない奴だよな」


しれっとした顔で手を伸ばしてくる加藤にハンカチを渡して、本日三度目の溜め息をついた。

「……」
「藤野ー」



びり、と、隣から何かが人工的に裂かれる音が聞こえて頭を抱えたくなった。
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