好きだから【超短編】
桃はきっと俺のことをただの''幼馴染''としか思ってないに決まってる。
だから俺が桃に想いを伝えることもこの先ないだろう。
どうせ、想いを伝えたってフラれてこの幼馴染という関係も終わってしまう。
そんなのは嫌なんだよ。
俺の一言で今までの関係までも崩れるのが。
フラれて二度と桃と話せられないなら、
俺は想いを伝えなくていいと思ってしまう。
ただの臆病者なのかもしれない。
でも、そう言われたって別にいい。
俺は臆病者なのだから…。
「ねぇ、陸は恋してる?」
自転車で下校中、桃がいきなり聞いてきた。
「そういう桃はしてんのかよ。」
「う~ん、してるのかな。」
桃の一言に皿が割れたような効果音が頭に響く。
「そっか。」
今の俺は魂の抜け殻みたいな顔してんのかな。
でも、きっと桃はそんなのも気がつかないと思う。
桃は鈍感だから。
ついでに言うと、天然。
でも、顔はクリクリした目にきれいな頬。
髪は茶髪のロング。
俺らが通う高校の中で1番可愛いと言われている。
だから、毎日のように呼び出されて告白。
そんな桃がいつかは告白をOKしてしまうのではないかと心配で
呼び出される昼休みは気が気でない。