好きだから【超短編】

「で、陸は恋してる??」

夕日に染まった空の下で、

俺らは自転車に乗って話をする。

桃から目線を逸らして目の前を見るともうすぐ陽が沈みかけている。

「してるよ…ずっと昔から。」

結構な遠まわしだけど、俺なりの告白。

でもきっと桃は気づいてない。

だってさ

「昔から!?陸って一途なんだね。」

とか言ってきたから。

「じゃあ桃は一途じゃないわけ?」

「私は一途ですよーだ!陸と同じように昔から好きな人いるもん!」

「その昔ってどれくらいだよ。」

「う゛ぅ…。」

「対してそこまで昔じゃないだろ?」

「…じゃあ陸はどれくらい昔から?」

「ずっと昔から。幼稚園に入る前から好きだよ。」

やっぱり、桃は俺のことをなんとも思ってないんだよ。

俺ってさ、マジで一途なんだぜ?

幼稚園入る前の時に桃が引っ越してきて、

そこで一目惚れ。

なんでかわからないけど、

桃の太陽みたいな笑顔に心がドキドキして顔が熱くなったんだ。

でも、桃が好きと自覚したのは小学3年の時。

たまたま見てたドラマで「これが恋なんだ」と思って

「じゃあ俺も桃のこと昔から?」って思うようになった。


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