好きだから【超短編】

「それってさ…誰?」

「言えるわけねぇじゃん。」

俺が桃のこと好きなんて言ったらこの関係とおさらば。

桃の笑顔を間近で見れなくなるなんてムリ。

「そういえばさ、今日も陸告白されてたよね。」

いきなりなんだよ。

そんなこと、聞きたくない。

しかも、桃の顔が少し悲しそうになっているのは俺の気のせいか?

「そうだけど…桃だって告られてたじゃん。」

「そ、それは私の好きな人じゃないし断ったもん。」

「何?俺がOKしたとか思ってるの?」

「だって今日告白してきたの美夏(ミカ)ちゃんなんでしょ?」

「なんで俺が川神を好きなこと前提で勝手に話を進めてんだよ。」

「だって…だって…。」

そういって桃は急に泣き出す。

なんで泣くんだよ。

どうせ俺のこと何も思ってないだろ?

頼むから泣くなよ。

期待しちまうじゃねぇか…。
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