好きだから【超短編】
「だっってヒック…美夏ちゃんが、り、陸と付き合えたとかヒック放課後私に言ってきたもん。」
「なにそれ。俺、川神は振ったけど。」
「えっ…。」
知らないうちの俺らの家の目の前に来ていた。
自転車を降りて、
俺と桃は向かい合う。
でも、それは恋人として向き合っているわけではない。
「俺の好きな人、他だから。」
それより、なんで桃は泣いてるんだよ。
変に期待をさせなでくれよ。
気持ちが抑えられなくなるじゃんか。
そんな姿で泣かれると抱きしめたくなってしまう。
でもそんなことは許されない。
ただの幼馴染がすることじゃないと思うから。
「じゃ、じゃあ、美夏ちゃんじゃヒック、なかったら誰?」
「教えられるわけねぇじゃん。」
桃、俺はお前が好きなんだよ。
この気持ちに気づいてくれよ。
これ以上桃といたら想いを告げてしまうそうで
じゃあなと一言言って俺は家に入ろうとした。
「な、なんでよ…。なんでヒック、いつもそんなにヒック冷たくすんの…。」
ドアノブに手をかけた途端にさっきの桃の泣き声より増した泣き声が聞える。
振り返ると手で顔を覆って涙を拭いている桃を見た。
「っつ…。」