好きだから【超短編】
今まで我慢してのが馬鹿だと今は思ってしまう。
今までの我慢がすべて水の泡。
でももういい。
幼馴染の関係に戻れなくなってもいいんだ。
思いっきり泣くじゃくってる桃を見たら、
我慢なんてしていられる場合じゃねぇよ。
「り、陸?」
俺は桃のところに走って行き、
桃を想いっきり抱きしめた。
「俺の好きな人、そんなに知りたいのかよ。」
桃は、俺の背中をぎゅうっと握る。
幼馴染でもいい。
桃と過ごした時間はかけがいのない思い出だから。
「うん。私ヒック、り、くの…ヒック、陸の好きな人聞きたい。」
「1度しか言わねぇからな。」
「うん…。」
俺は深呼吸をして口を動かし、
桃に話す。
振られたっていい。
今振られても泣かない気がする。
なぜかは分からないけど、
泣かないと思う。
きっと笑って幼馴染という関係から去れる。
「俺の好きな人は桃だよ。」