好きだから【超短編】
「それ…本当?」
「本当だよ。」
「冗談じゃ…「冗談じゃねぇよ。」
抱きしめる力を少しゆるくして俺は桃を見つめる。
いつの間にか桃は泣きやんでいて、
きれいな瞳を俺に注ぐ。
「俺、桃のことが小さい時から好きだった。でも、桃には好きな人いんだろ?俺、桃の相談役になるからさ「待ってよ!!」
桃が俺の話を遮ってきた。
「私の好きな人、陸だよ…。陸が好き。」
「マジで?」
「うん、マジ。」
「どれくらい前から?」
「陸と初めて会った時から…。」
「でも、そんな素振り見たことねぇよ。」
突然の告白に驚くけど、とても嬉しいと思える。
両思いってこんなにも心が嬉しくなるもんなんだな。
「陸だってそうじゃん。いつも冷たくしてさ、でもたまに優しくなって…。私、陸は私のこと好きなのかなって何度も思って悩んでたんだよ?」
「好きな女に冷たくしたりするのは男子にとっては当たり前なんだよ。」
「女子の私にはそんなの分からないもん!」
「じゃあ桃だって好きな人いるか俺が聞いたとき、『いない』って言ってたじゃんかよ。」
「だって、もしそこで陸に言って振られたら今の関係も終わっちゃうじゃないのかなって…。」
桃もさ、俺と同じ気持ちだったんだな。
この関係さえも崩れたら嫌だということが。