君に届ける最後の手紙
夢の虫
「次ぃ!レフト、由!行くぞぉ!」


「さぁ来い!」


「カキーン!!」


白球が、勢い良く俺を目掛けて飛んでくる。


パシィッ!!ズザァァァ!!!


「おぉ、珍しく気合い入ってんなぁ」


皮肉っぽい彼の名はゲンキ。幼なじみ……と周りは言うが、俺らは腐れ縁と呼び合っている。


今ゲンキが"気合い入ってる"と言ったが、それもそのはず。


来週には俺達三年にとって、最後となる大会が控えている。


気合いが入らないわけはない。


うちの中学校は、県内でも三本の指に入る程の強豪校だ。


しかし、初戦の相手は附属中。うちにとってはライバル校で、事実上の決勝戦と言っても過言ではない。


余計、気合いが入るわけだ。


「ったく、お前の言葉はいちいち腹が立つな。ゲンキも頑張らないとレギュラー危ないんじゃないのか?」


「バ〜カ。言ってろ」


まぁ、強肩好守。おまけに強打の彼に限って、そんな事はないと思うが、嫌味でお返しってところだ。



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