君に届ける最後の手紙
次の日の放課後。


俺は珍しくアイのいる4組まで迎えに行った。


「由、珍しいね!」


「おぅ。一緒に近くの駄菓子屋いかね?」


この広い敷地を出るとすぐに"高校生狙いです"と言わんばかりに、寂れた駄菓子屋がある。


「え、でも寮に持ち込んだら没収だよ?」


そんな事は解っている。


「うん。ただゆっくり話がしたいだけ。学校とか寮じゃ落ち着いて話せないだろ?」


「そう……だね!たまにはいいよね!」


俺達二人は駄菓子屋に向かってゆっくりと歩き始めた。


学校の敷地内は、果樹園や田んぼ、畑があって緑が沢山。


散歩するには絶好だ。


実のところを言えば、駄菓子屋なんて二の次で、本当にしたい事はこれ。


「由、なんかいい顔してる……こゆの好きなの?」


アイが意外そうな顔で言う。


「うん。緑の景色と青い空が好き。ゴミゴミしてんのは好きじゃない」


「へ〜。由は都会育ちだから、田舎臭いの嫌いだと思ってた……」


「ん〜、都会育ちだから……かな」


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