君に届ける最後の手紙
するといつの間にか小さなカゴの中は一杯。


幼い頃はこれを見て"宝箱"と思えていたんだろう。


「宝箱みたいだね!」


目を爛々と輝かせて言うアイ。


それをバカバカしいと思わず、共感出来る自分に、少し安心した。


良かった。俺はまだ子供だ。


「アイ、色々楽しんだ事だし……帰ろっか」


「うん!」


消費税のかからない事に感動しながら会計を済ませ、ガラガラと戸を開けると、辺りは段々薄暗くなって来ていた。


「なんか思い出すね……由と初めて話し出来た日の事」


そんなに昔の話ではないが……


「あぁ、今だから言うけど、あれはかなり怖かった。アイといい、カマオヤジといい……」


「あ!やっぱり私の声聞こえてて逃げたんでしょ!」


ミス。


「ちげぇって。あれは……」


「ま、いいけどね!あの日があったから、今こうして付き合ってるわけだし!」


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