君に届ける最後の手紙
「そうか?俺は自然に囲まれてる方が贅沢だと思うけどね」


「そんな事ないって!バスだって何本も通ってるし。やっぱ便利だよ」


まぁ、無い物ねだりの押し問答ってところだ。


と、突然アイが足を止める。


「由!アレやろ!アレアレっ!」


プリクラ。俺が最も苦手とするものの一つだ。


「やだ……」


「何でよぉ?!せっかく街に来たんだから撮ろうよ!」


必死に抵抗してみたが、アイに袖を掴まれ無理矢理カーテンの中に引きずり込まれてしまった。


「ハイ、じゃボタン押すよ!」


アイは凄く楽しそうだが、俺はカメラから視線をそらし、あっちを向いたりこっちを向いたりしている。


俺は写真を撮るのは好きだが、被写体になるのは好きじゃない。


大体にして、どんな顔をすればいいか分からない。


「んもっ!ちゃんとカメラ見てよっ!」


「だから嫌なんだって」


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