君に届ける最後の手紙

「ホームルーム、めんどいな……屋上いってみよ……」


中学校の時とは違い、ウチの屋上は本格的に立入禁止なのだが、気晴らしに忍び込んでみる事にした。


階段を上がり扉の前に立つと、物々しく


「立入厳禁!」


などと書いてはいるが、鍵は掛かっていない。


「鍵閉めないからこういう事になるんだよ……」


なんて一人で言いながらトラ模様のロープを跨ぎ、扉を開けた。


「ん〜……懐かしい雰囲気」


朝独特の透き通った空気が俺を包み、辺り一面緑に囲まれている。


最近"緑"には慣れが出て来たが、角度を変えてみると、これがまたいい。


"気が晴れる"とは良く言ったもんだが、まさにこれを指すのだろう。


しばらくその景色に見とれていると……


「ガチャ……」


「?!」
< 133 / 233 >

この作品をシェア

pagetop