君に届ける最後の手紙
タタッタタッタタッ……


心が晴れたからか、階段を降りる足取りも軽い。


タタッタタッタタッ……


「あ〜、由〜……ホームルームさぼってたんでしょう!」


偶然なのか、狙ってたのか、階段下にいたアイが頬を膨らませて言う。


「ん?違う違う。屋上で課外授業受けてた」


我ながらではあるが、なんて適当な言い訳だろう。


それを聞いてアイは呆れた様子で言った。


「あら、どの先生が担当してくれたのかしらぁ?」


「新任の山根センセイだよ!」


あるはずもない話に二人で笑う。


そんな時間がやけに楽しい。


意外と大丈夫なようだ。


俺、アサミと会えなくなっても生きていける。


そう自分に言い聞かせ、寂しさを心の中に閉じ込めた。


非日常というものは、時間が経てば日常に飲み込まれていくらしい。




……だが、この時俺は何も気付いていなかった。


無理矢理閉じ込めた感情は、いつか膨張し、


破裂する。


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