君に届ける最後の手紙
「ほら由、電車来たよ!じゃ、バイト頑張って!」


「ん。また明日な」


アルバイトを始めた。家の近くにあるコンビニ。


元々、学校に通うための電車賃を稼ごうと始めたのだが、もう一つ目的があった。


「由!こっちこっち!」


駅を出た所で、人目もはばからず、大きく手を振り母が俺を呼ぶ。


「で、買っといてくれた?」


「うん!これでいいんでしょ?ハイ!」


と、母が俺に手渡した物。


「似てるけど……違う」


「あら……まぁいいじゃないの!とにかく開けて見なさいよ!」


「うん……おぉっ!」


シルバーに輝くボディー。


電源を入れるとオレンジに光る画面。


そして、ビヨンビヨンと無駄に長いアンテナ。


PHSだ。念願のピッチ。


< 146 / 233 >

この作品をシェア

pagetop