君に届ける最後の手紙
バイト先であるコンビニのドアを開け、バックルームに入ると、夕勤の三人が集まっている。


よく見ると、俺と同期で同学年のテッペイが中心にいるようだ。


「おはよう。どしたの?」


不思議そうに聞いてみる。


「由おはよう!これ見てくれよ!携帯電話買ったんだ!」


……ケイタイデンワカッタンダ……?


「ピッチじゃなくて?」


「うん。携帯電話」


何故、貴様の様なしがない一介の高校生が、その様な超高級品を持つ事が出来るのだ……。


テッペイは得意気に、新しく搭載された"和音"とやらを鳴らす。


正直羨ましい。これでは新しく買ったピッチを見せびらかしたところで、恥をかくだけだ。


しかし……


ピロリロリロ……ピロリロリロ……


ピッチの着信音が淋しげに響く。


……自宅……。


「もしもし……」


母だった。しかも、このタイミングで、ピッチの調子はどう?なんて言う、ハッキリ言ってどうでもいい内容。


「……まぁまぁだよ……」


俺は突如として、近代社会の隅へと追いやられた。


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