君に届ける最後の手紙
女性客の方も、


「あれ?何でこんな所にいるの?」


といった感じの目で俺を見ている。これは"似ている"のではない。


間違いなく本人だ。


アサミ本人。


本当は声を掛けたいのだが、彼氏の前で気軽に声なんか掛けて変な事になっては困る。


俺は込み上げる気持ちを抑え、マニュアル通りの接客をする事にした。


が、こんな時に限ってレジに凄い数字が出る。


「777円です」


本当は


「うぉっ?!すげぇじゃん!」


くらいは言いたいが、ここは我慢だ。


男の方が千円を出し、俺が釣りを渡すと、二人は足速に店内から去って行った。


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