君に届ける最後の手紙
「ガイコクのジュース……」


正直信じられたものではないが、外国に行った事がない俺の心を"ガイコク"という響きが大きく揺さぶる。


「…………クピッ……ぶふぉぉぉ!!!ペッペッ!……嘘つき!ゲホォ!」


大人なんて嫌いだ。


「ガハハハ!お前おもしれぇな!笑わしてくれたお礼に好きなジーパンやるよ!」


……なに?


「いや、それは悪いッス」


とか言いつつ、目はカッコイイジーパンに向いていた。


「いやいや、やるよ!持ってけ!」


ここまで言われちゃしょうがない。


俺は迷いもせずに28000円もするジーパンを持って来た。


普通なら嫌な顔の一つもするはずだが、


「28000円ッッッ?!……ぶふっ!……ぷぷぷぷっ!!……ガハハハハハ!!!普通もっと安いの持ってくだろ?!あ〜っはっはっは!!!」


爆笑に爆笑を重ねると、腹を抱えながら手をプイップイッ。もう行けって事だ。


「何なんだこの人……」


そう言いながら、俺は素直に店を後にした。


まぁ、何はともあれ28000円もするジーパンをタダで手に入れたわけだ。


このまま行けば16年の人生の中で、かなりラッキーな一日のはず……だった。



が……



俺は見てしまった。



見ちゃいけないものを



見てしまった。



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