君に届ける最後の手紙
急げ……急げ!


俺は息を切らして走った。元々、長距離を走るのは得意じゃないが、いくらでも走れる。


「……あ、チャリ忘れた」


でも走れる。


ヘトヘトだろうが、忘れ物をしようが、俺はアイツに会わなければならない。


会って、謝らなきゃいけない。


「……はぁ……はぁ……ふうぅぅぅ……やっと着いた」


いつもなら尻込みしてしまう俺だが、今の俺に迷いはない。


ただアサミの顔を見たい。大事な人を傷付けてしまった事を謝りたいんだ。


シンプルな想いが、俺に少しだけ強さを与えた。


……ピンポ〜ン。


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