君に届ける最後の手紙
「……由!……由!」


食事が出来上がったのだろう。母が下から大声で呼んでいる。


勿論、無視をしている訳じゃないが、返事をする気力がない。


声が出ない。


……ガチャ。


「ちょっと由!……あら?何してるの?電気も着けないで……」


「……」


開きっぱなしの携帯を見詰める俺を見て、母の口調が強くなる。


「由!何で何も言わないの!?」


「……ごめん。アサミの家に電話して貰えないかな」


すると母の声色がガラッと変わる。


「何かあったの……?」


「……もう俺の気持ち、アサミに伝えられないや……」


色々な意味に取れる言葉だが、母は直感的に気付いたのだろう。


それ以上問い詰める事もせず、急いで受話器を取った。


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