君に届ける最後の手紙
「……もしもし?」


アサミの母親と電話が繋がったらしいが、母の声が震えている。


「事故?!……うん……うん。本当だったの……解った!すぐ行くから!しっかりするんだよ!?」


頭の中が真っ白で、何が何だかよく解らないが、どうやら本当の事だったらしい。


「由……行くよ。アサミちゃんのとこ」


なおも震えが止まらない声で、母が言う。


「……行きたくない」


信じたくないとか信じられないという事ではなくて、ただ単純に、アサミの姿を目にする自信が無かった。


「アンタ、後悔するよ?」


後悔するとかしないという事も考える余裕がない。


今日、アサミの顔を見る自信がないんだ。


「ごめん……明日は必ず行くから……」


すると、精神的に無理だという事が伝わったのか母は、


「そうね……」


と一言残し、アサミの家へと向かった。


ごめん……アサミごめん。


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