君に届ける最後の手紙
――翌日。


俺は学校にも行かずに……と言うか行けず、家にいた。


正直、自分の部屋すら出る気になれないが、今日は必ず行くと言った以上、いずれは出なければならない。


アサミに会ったら、自分がどうなってしまうのかが恐い。


すると、母が部屋のドアを開け、気遣いながら言う。


「由、礼服買って来たよ。……アサミちゃんにカッコイイ姿見せなきゃね」


行くしかない。


その状況に立たされて、初めて足が動く。


母が掛けてくれた言葉に対して、返事の一つも出来なかったが、無言のまま、新品の礼服に腕を通した。


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