君に届ける最後の手紙
今では俺とゲンキが会っている時にしかアサミの話が出来ない。


人が死ぬ上で一番の悲しさが、今になって出て来たのだ。


「11時か……ちょっと早いけど……」


もう寝よう。


俺は寂しさを紛らわす様に、眠りに着いた。もちろん、電気は消さずに。


……トン……トン……トン……


もう少しで眠りに落ちそうだった頃、時計を見ると……1時半。


母が階段を上って来る音で目が覚める。


こんな時間に何だろう?


……ガチャ。


母は部屋に入って来たが、俺は気付かないふりをしていた。


すると……カチッ、カチッ……。


煌々と照らす明かりを消した。


それに気付いた俺は、ガバッと跳び起きる。


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