君に届ける最後の手紙
……帰り道……


「由くんひそかに勉強頑張ってたんだ!偉いね!」


「あぁ、最初はやる気なかったけど、アサミが強引にって感じで……」


「ふ〜ん。でもいいじゃん!結果、由くんにとってプラスになるんだし!」


「まぁね……」


そこでアサミさんの目が爛々と輝き出した。


「前々から聞こうと思ってたんだけど、アサミちゃんと付き合ってるの?」


何故かみんなそれを聞きたがる。


「いや、それは絶対ないよ!まず恋愛感情が湧かないし……」


「へぇ、アサミちゃん可愛いのにな」


「ん〜……付き合い古いしね。今更付き合えっても無理だよ」


するとアサミさんは鋭い所を突いてきた。


「由君は、今好きな人居るの?」


好きな人には絶対されたくない質問だ。


「うっ……うん。まぁ……」


と、答えるのが一応正解なんだろう。


「えっ?!誰誰?教えて!」


これだけは口が裂けても言えない。


「今は言えないよ!……卒業式になったらいいけど……」

「えぇっ?!じゃあ私も教えない!」


思い切り後頭部をハンマーで殴られた様な衝撃が走った。


「あ……好きな人いるんだぁ……だよね〜!そりゃそうだ!」


「中学生になれば恋ぐらいするよ!……じゃ、私の家この辺だから!ありがとね!」


「うん!……また明日ね。……バイバイ……」


俺の声はトーンが下がって行き、終いにはそこから家までの記憶は全くなかった。


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