君に届ける最後の手紙
そして俺の記憶のスタート地点。


「ただいまぁ……」


そこにアサミの靴はなかった。


「あ、今日は新しい着替え持って来る日か……母さん!今日の夕飯何?!」


キッチンに明かりは点いているが、返事がない。


「何だ。聞こえないのかな。……母さん?」


ドアを開けると、エプロン姿で倒れている母がいた。


「……おい……何だよ!母さん!」


大きな声で呼び続けたが反応はない。


「やべぇよ……そうだ!救急車!」


大急ぎで電話をしたが、動揺の余り、伝えたい事が上手く伝えられない。


やっとの事で家の住所を知らせ、すぐに駆け付けると聞いたが、身体中の震えが止まらない。


そこで……


「おばさ〜ん、由ちゃ〜ん、ただいまぁ!」


アサミだ。


「どうしたの?……ちょっとおばさん?!」


「……俺が帰って来たら倒れてた。救急車、すぐ来るって……」


「ちょっと?!おばさん!しっかりして!」


そんな事を話してる間に救急車が到着。


すぐさま病院へ搬送となった。


「アタシも病院行く!」


「いや、アサミは待っててくれ。火の元とか確認してないし……」


そう言うと、俺は母と救急車に乗り込んだ。


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