君に届ける最後の手紙
その日の昼休み。


「由、屋上で飯食うべ」


俺達は何かを話し合う時、決まって屋上で昼食をとる。


「なぁ、由がアサミに話し掛ける時、どんな気持ちで話し掛ける?」


「どんな気持ちでって……別になんも考えねーけど。つーか俺から話し掛ける事は、まず無い」


「はぁ〜、いつも向こうから話し掛けてくるわけ?いいですねぇ〜」


と、ゲンキは言うが、恋愛感情を持ってない以上、嬉しくもなんともない。


「別に良くねーよ。つーか何も考えずに話しかけりゃいいじゃん」


「そーそ、元気にオハヨウとかね!」


ゲンキの顔から血の気が引いた。……アサミだ。


「で、何の話?ゲンキくん好きな人でもいるの?」


良かった。内容までは聞いていなかったらしい。


「つーか何でアサミがこんなとこにいんの?生徒立入禁止のはず」


「アンタが言えた立場じゃないでしょ!……ちょっと考え事してた訳さ」


「へぇ、お前でも考え事なんてするんだな」


と、ある程度会話も落ち着いて来たところで、俺はスペシャル必殺技を繰り出した。


「やべぇ!腹痛ぇ……じゃ俺戻るわ!」


我ながらナイスだ。ナイス過ぎる。


ビューティフル!


……と言う事で、後は若い二人に任せよう。



< 4 / 233 >

この作品をシェア

pagetop