君に届ける最後の手紙
アーケードに入りしばらくすると、黄色い悲鳴が俺の耳をつんざく。


「キャーッ!」


アサミだ。


「なんだ?!何かあったのか?!」


「……黄色い手袋!超可愛い!」


…………心配して損した。


「あのなぁ……もう黄色やめろよ。つーかなんで黄色なの?違う色の方がいいだろ。茶色とか大人っぽくていいじゃん」


呆れたような声でアサミに言った。すると……


「え?由ちゃん……アタシがなんで黄色好きか忘れたの?」


と言うもんで、必死に答えを探す。


「ん?ちょっと待て……なんかあったっけ?」


「由ちゃん酷い!」


彼女の潤んだ瞳に俺は慌てふためいた。


「え?あ、なんか……ゴメン。買え!買えよ!黄色い手袋!」


「……好きだからに決まってんじゃ〜ん!ブフフッ!わ〜い、引っ掛かった!」


基本的にノーテンキなアサミの心配なんかした俺がバカだった。


俺の中にある変な真面目さは、時としてアサミの"いじくり材料"となる。


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