君に届ける最後の手紙
さて、年明け初日は大した事も起きず、今日は二日。俺は一日遅れの初詣に来ていた。


となりには当たり前の様にアサミがいる。


「由ちゃん!おみくじひこう!」


「ん?そうだな。初詣と言えばこれだしな」


アサミは無邪気な顔でおみくじを引く。


「やったぁ!アタシ大吉だぁ!」


「あほう。こゆのは小吉ぐらいがちょうどいいの」


「でもさ、アサミちゃんてば派手なキャラだし、そーゆーみみっちぃの似合わなくない?」


「確かに。んじゃおれのやつは…………いや、見なかった事に……」


「見せてみぃ……んわっ!大凶じゃん!女難の相だって!由ちゃん最悪だぁ!」


とにかく何でもデカイ声で言うのはやめて欲しい。


「ま、女難は当たってるな。現にアサミがとなりにいるし」


「ん〜!そりゃひどいよ!開運蹴りぃ!」


やはり今年もこれか。


「いっ……てぇな!初詣でやることねーだろ!ってか……あれ?」


視線の先には憧れのアサミさんが泣きそうな顔でこちらを見ていた。


「やっぱり由くんとアサミちゃんはお似合いだよ……さよなら……」


俺は見苦しいと解りつつも、必死に弁解しようとした。


「ちょっ……待って!これは違うんだ!」


しかし、アサミさんは信じられないようなスピードで去っていく。


「アサミさん!アサミさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」


…………………………………………………………
「はっ!」


夢だった。しかも初夢。今年も先が思いやられる。


「由!電話だよ〜!」


「はいよ〜。……もしもし」


「アサミだよっ!由ちゃん、初詣いこ!」


「いや……やめとく……」


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