君に届ける最後の手紙
とにかくアサミは推薦によって、県内でも有数の進学校に入学を決めた様だ。


俺も負けるわけにはいかない。


勉強勉強、猛勉強だ。


「むむぅ……ん〜……」


眠くても勉強。


「あいてっ!」


指にペンダコが出来ても勉強。


「由〜!遊びに行くべ!」


「行くかボケェ!」


遊びたくても猛勉強を続け、試験前日を迎えた。


「よし!由ちゃん国語は元々得意だし、数学もバッチリ!後は明日に備えて体も頭も休めないとね!」


「おう。わりぃな、突然呼び出して」


「ううん。なんかこうして由ちゃんちに遊びに来たのも一ヶ月振りくらいだし、なんか楽しかったよ」


「そっか……あのさ……」


「ん?なぁに?」


「今日……泊まってけよ」


「なぁにぃ〜?!由ちゃんがそゆ事言うの珍しい!明日大雪かもね!」


「なんか不安でさ。で、どうなんだよ!泊まるの?泊まらないの?」


「うん……いいよ!由ちゃん珍しく素直だから、一晩中いい子いい子してあげる!」


「いや、それはいらん」


俺は俺らしくもなく、自分の中にある弱い部分をアサミに預けた。


そのせいもあってか、試験前日は不安を微塵も感じずに、しっかりと身体を休める事が出来た。


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