君に届ける最後の手紙
高校入試からしばらくすると、周りの環境が少しずつ変化し始める。


「さて……と、今日で私の授業は終わりです。え〜……」


「はぁ……こぇ〜こぇ〜と思ってた木村の授業も、今日で終わったと思うと……なぁ?」


仲間の一人がそう言うと、数人が一斉に"同感"と言った表情で教室の窓から顔を出す。


そう、つい三日前には何も現実味を持っていなかった卒業という言葉が、時計の針が動く度に、リアルさを増して行く。


あと二日もすれば、俺らは卒業生となる。


それともう一つ、最後に必ずやらなくちゃいけない事が……。


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